用語集・リンク集

Glossary / Links

用語集

ここでは、
質改善・患者安全の関する用語や考え方をご紹介いたします。

●医療安全 Patient safety

定義
患者さんが医療によって害を受ける可能性を最小限に抑え、もし、害を受けたとしても、そこからでき得る限り回復できるように、組織的に活動し、文化かとして定着させること

解説
日本で「医療安全」という用語が使われるようになったのは1999年頃からです。1999年5月12日に、厚生省(2001年に中央省庁再編により厚生労働省に統合された)は、「患者誤認事故防止方策に関する検討会報告書」https://www.mhlw.go.jp/www1/houdou/1105/h0512-2_10.htmlを公表しました。これは、1999年1月11日に横浜市立大学病院で発生した患者取り違え事故を受けて、非常に短期間で取りまとめられた報告書です。
この検討会では、「医療安全」とは、「医療の質の確保を行うことを目的とした組織全体で取り組み」だとされました。人間はエラーを犯すことを前提に、個人ではなくシステムの問題として捉え、予防の視点で事故を分析することがすでに提案されており、当時の日本の医療の状況を考えると、先進的な考え方であったことが分かります。

医療安全は、英語ではpatient safetyといいます。日本発の論文では、medical safetyという用語も使われていますが、英語圏ではほとんど使われていません。誰の安全なのか、ということを考えると、医療を受けるのは患者であり、患者の安全が第一(To put the patient first)であることは明白だからです。ただ、患者の安全のためには、医療従事者の安全も重要ですし、患者のみならず、訪問者(患者家族等も含む)の安全も大切です。より広い意味でhealthcare safetyやclinical safetyという用語が用いられている英語圏の文献もあります。

Google/Edgeの検索エンジンでは,日本のサイト以外ではmedical safetyの用語が、ほとんど現れません。Pubmed2013-2022年の検索では、medical safetyを検索用語とすると、508件の文献がありますが、同期間のpatient safetyは45,448件、clinical safety 2,675件、healthcare safety 887件です。圧倒的にpatient safetyが用いられていることが分かります。

世界保健機関(WHO)の定義では、「患者安全とは、組織化された活動の枠組みであり、有害事象の発生頻度および影響を最小限に抑え、有害事象からの回復を最大限に高めていく活動であり、文化である」とされています。1999年に日本で定めた定義では、医療の質の確保が目的とされていましたが、WHOでは、この部分は、明確に患者の有害事象を減らすということになっています。